都会と田舎の距離の遠さは、物理的な距離だけではなく文化的、ビジネスルール的にもかなり距離があります。
皆様の中にも、田舎との人間的な関わり方で、ご苦労された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
もちろん田舎には、純粋で人情深いジブリアニメのような優しい方も多く暮らしていらっしゃいます。
ただ、その優しいふりをして、田舎や山を分かっていない都会人を貶めようと騙す悪い人もいます。
しかもなかなか巧妙に。
都会でのビジネスや常識を学んでしまった私が田舎で騙された失敗事例をご紹介します。
これはまだ私が東京でITの仕事を中心にしていた頃の話です。
ある日、突然私の携帯が鳴りました。
相手は、私の田舎の実家の近所に住む岡山さん(仮称)。
昔、私の父にお世話になったとかで、その恩を感じてとても良くしてくれてます。
留守がちな家屋をみてくれたり、祖母の面倒をみてくれたり、草刈をしてくれたり、郵便物を東京に送ってくれたり。
心優しい方で、頼み事は断れないタイプの方です。
話によると、岡山さんの知り合いの大阪さん(仮称)が私名義になっている山の木を立ち木のまま売って欲しいとのこと。
買取金額は25本を70万円で。前のブログに書いた木の値段とかなり変わりますが、高樹齢の木で高級品でした。
山の場所は、大阪さんの家の近くにあり私も見に行ったことのない山でした。
大阪さん曰く妥当な金額を提示しているとのこと。
私は、岡山さんのご紹介ということもあり、また現場をすぐに見に行けなかったため、
TELで売買契約を進めてもよいと回答してしまいました。
そしたら、すぐに大阪さんは私に70万円を振り込んできました。
「すごい商売の進め方するなー多少ごまかしたいんだろうなー」と驚きはしましたが、
私はその時点では「まだどの木を売るとも言ってないしなー」と余裕をこいていました。
というのも、実際の立ち木の売買の成立には、刻印(=鉄でできた山の実印)を木の根元に打ち付ける必要があります。
その刻印がないまま原木市場に出したら盗木を疑われます。
最終的には私が合意しないと仕事を進められないから大丈夫、と高をくくっていました。
後日、大阪さんとその山に行ってきました。
大阪さんは、対象の25本にビニールテープで印をつけていたのですが、やはり70万円どころか140万円分の木に印が付いていました。
多少なら目をつぶろうかとも思ったのですが、さすがに倍はやりすぎかなと。
私は、この木なら70万では安すぎるので金額を増額するか切る本数を減らしてほしいと交渉しました。
この時点ではまだ私は強気でした。
が、向こうは一枚上手でした。。
なんと、大阪さんは岡山さんにクレームを出したのです。
「俺は70万振り込んで商いが成立したと思ってるから、既に切り倒すための人も雇ってワイヤーも準備もとるんじゃー!紹介したお前が責任とって弁償せんかい!」と。
やられました。
私としては、普段お世話になっているジブリ系岡山さんに迷惑を掛けるわけにはいきません。
渋々、商談を成立させました。
ちなみに、もし私が見に行かなかったらその25本という約束も怪しく、もっと多く勝手に切られてたと思います。
大阪さんは、「東京から刻印を打ちにくるのも大変だろうから刻印預かってもよいか」と言ってきてましたし。
「やられたらやり返す!倍返しだー!」と、熱くなったものですが、まぁ安易に進めてしまった私の反省ですね。
このように田舎では都会の常識が通用しないケースがあります。
後から地元の林業家に聞くと、その大阪さんは昔からそういうズルい商売をすることで有名な人だそうです。
今では、弊社は、奈良の田舎の現地に住んで動いてくてるスタッフがいるので、このようなトラブルは回避できています。
弊社が、都会と田舎のビジネスの通訳(橋渡し)となれればと思います。
ちなみに、田舎には優しいジブリ系の人の方が圧倒的に多いですので悪しからずです。